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■ ヴィスコンティ集成(ブックシネマテーク…4)

退廃の美しさに彩られた孤独の肖像
「郵便配達は二度ベルを鳴らす」にはじまるネオ・リアリズムの世界には生きることへの希望と絶望が満ち溢れていた。そして「夏の嵐」「山猫」をへて「イノセント」に結ぶヴィスコンティの成熟はついに死と官能の極限で静かに人間の終末を見つめた。
「ベニスに死す」「異邦人」「家族の肖像」「地獄に落ちた勇者ども」…。現代、ヴィスコンティの映画を知らない見たことがない若い人がいるのだろうか?ヴィスコンティを流れるヨーロッパの血と知性のは変遷はヴィスコンティ自身の影として、いたたましいまでに美しくフイルムに刻まれた……。これらの作品群を鑑賞してないなんて、個々の知性にとって不幸でしかありえないと思う。
約40年前、初めてベニスの海岸を訪れた時、「ベニスに死す」のダークボガード演じる音楽家の死のシーンが甦った…。