戻る
■ 死のクレパス・アンデス氷壁の遭難(j・シンプソン)岩波書店

自然に挑戦して自己の世界を拡大してきた人類は、極限状況を追求する冒険を通じて今や人間の内部という未知の領域の探検を始めて、さまざまな新しい経験を積みつつある。
本書は宙づりになってザイルを切断されたクライマーが、孤独と不安、意識の混乱、死への誘惑など、底知れぬ「虚空」に剥き出しになった自己の意識の激しい葛藤と、傷ついた肉体との格闘を経て辛くも生還するという、かって日本人が書かなった極限状況における意識と肉体のドラマを迫真的に描き切っている。
優れたノンフィクション文学に与えられる国際的な文学賞である「NCR賞」と良質な山岳文学に与えられる「ボードマン・タスカー賞」を受賞。