戻る
■ 赤と黒(スタンダール)角川文庫

名声欲につかれた貧民階級出の美貌の青年ジュリアン・ソイルの短い生涯を描き、こういう野心的タイプの代名詞とまでなった。情熱的な行動を描き、フランス文学伝統の緻密な心理描写にすぐれたこの長編は、8年前に発表された「恋愛論」における著者の人間把握に小説的な肉づけを試みた輝かしい成果であるといえよう。