大いなる遺産(ディケンズ)
私が28歳の時、初めて英国を訪れて宿泊したホテルがディケンズホテルだった。それまでイギリスの偉大な作家ディケンズの事を全く知らず、勿論、彼の小説も読んだこともなかった。そして、宿泊したホテルで働いていた文学好きな日本人女性と友達になり、ディケンズを知り、面白くて夢中になり、全作品を短期間で読破したのだ。 「クリスマス・カロル」「デイヴィッド・コパフールド」「オリバー・トウイスト」「二都物語」などの名作の完成度の高さ、面白さは抜群です。 「大いなる遺産」は主人公のピップが謎の人物から莫大な遺産の相続を約束されて、貧しい生活から一変して贅沢三昧の暮らしに浸る。やがて忘恩の徒となりはてたピップの前に、謎の人物が姿を現わして、運命が再度一変する。 痛烈な皮肉、豊かなユーモアと深いペーソスをたたえた文豪後期の代表作をなす長編小説である。
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