純文学書き下ろし特別作品
数年前から私は自分の肉体と精神に飴色に芽吹き始めた老化に気づき、同時に作家として、これは最後まで直視しようと決意していた。外国へ出かけると老人の施設を隈なく見学し、現代にあって老いて生きるのは自殺するより遥かに痛苦のことであると悟った。 科学の進歩は人間の寿命を延ばしたが、それによって派生した事態は深刻である。私はこれ以上年をとってからでは、もう自分ではこうした小説は書けなかっただろうと思っている。 (著者) 最近、有吉佐和子の「青い壺」が見直されて、話題になっている。という訳で早速、私も購入して見た。
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