戻る
■ 金閣を焼かなければならぬ 林養賢と三島由紀夫(内海健)

金閣を焼かなければならぬ
林養賢と三島由紀夫

金閣寺焼失、今から75年前に独りの青年僧が、国宝・金閣寺に放火するという未曽有の凶事があった。鬼才・三島由紀夫に青春の総決算となる最高傑作を書かせた出来事の核心に、精神病理学の第一人者が、臨床知を傾けた分析で迫る。第47回、大佛次郎賞受賞のノンフィクション。
あまりにも有名な三島由紀夫の小説「金閣寺」を知る人は多いが、この事件の時代背景や犯人の生い立ち、人生観、深層心理などについては知る由もなかった。
私がこの本を読んで、最も心を痛めたのは、養賢の母親、志満子が、金閣寺焼失の翌日、息子に会いに駆け付けたが、かたくなの拒否にあい、傷心のまま帰路、付き添いの弟が目を離した暇に、山陰線の列車から保津峡に投身自殺した事である。合掌。