二十歳の原点(高野悦子)
独りであること、未熟であること、これが私の二十歳の原点である。
旅に出よう。テントとシュラフの入ったザックをしょい。 ポケットには一箱の煙草と笛をもち、旅に出よう。 出発の日は雨がよい。霧のようにやわらかい、春の雨の日がよい。 萌え出でた若芽が、しっとりとぬれながら そして富士の山にあるという、原始林の中にゆこう。ゆっくりとあせることなく。
若干、二十歳で鉄道自殺した高野悦子さんの父親、高野三郎氏の編集によって掲載されたものを底辺に、欠落を補い、散逸したメモを加えて、昭和46年に発行された。 やはり、二十代の私に自殺と生きることの意味を考えさせた本であった。
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